ED(勃起不全)とは
EDは、満足のゆく性行為のために必要な十分な勃起ができない・維持できない状態を指します。まったく勃起しないケースだけでなく、勃起力が弱い・硬さが足りない・最後まで持続しないといったケースもEDに含まれます。性行為に対する不安・トラウマによって起こる「心因性ED」、加齢に伴う男性ホルモンの減少を原因として起こる「男性加齢性機能低下症候群に伴うED」、非ステロイド性抗炎症薬や抗うつ薬によって起こる「薬剤性ED」、生活習慣の乱れ・動脈硬化を原因として起こる「動脈性ED」、静脈閉鎖不全に伴う「静脈性ED」、陰茎への神経伝達がうまくいかないために起こる「神経性ED」など細かく分類されます。
治療では、EDのタイプに合わせて薬物療法、生活習慣指導などを行います。
ED(勃起不全)
の主な原因
勃起は神経と血管の両方に依存しており、それぞれの問題がEDの原因となります。
20代~40代に多い「心因性ED」
精神的なストレスやトラウマは、神経による興奮伝達の障害を引き起こし、EDを引き起こすことがあります。日常生活の小さなストレスや、過去の性交渉での失敗も原因となり得ます。
50代~60代に多い「器質性ED」
器質性EDは、動脈硬化によって血管が硬くなり、血液の循環が悪くなることで起こります。血液が海綿体に送られにくくなり、勃起が困難になります。
生活習慣
生活習慣病は、血管に負担をかけて動脈硬化を引き起こし、EDを促進してしまいます。特に、糖尿病は血管だけでなく神経にも影響を与え、EDのリスクを高めます。喫煙や過度の飲酒も動脈硬化を加速させるため、これらの習慣を避けることが重要です。
加齢
中高年の場合、動脈硬化や男性ホルモンの分泌低下によってEDになることが多くなります。血管の弾力性が低下することで動脈硬化が進行し、勃起の維持力が低下するためです。
神経疾患
脳卒中や脳腫瘍、脊髄損傷、パーキンソン病などの病気や外傷、手術によってEDになることがあります。正常な勃起には、脳から神経に伝わる指令が必要で、神経障害があればこれらの指令が伝達されにくくなります。
40代~60代に多い「混合性ED」
混合性EDは、器質性EDと心因性EDの両方が起こる状態です。加齢や生活習慣病による動脈硬化だけでなく、ストレスや過労も原因となります。50代~60代の高齢者に多く見られます。
薬の影響による
「薬剤性ED」
解熱・消炎鎮痛剤、抗不安薬、抗うつ薬などの中枢神経作用薬や、筋弛緩薬、鎮けい薬などの末梢神経作用薬、不整脈治療薬、血管拡張剤、脂質異常症治療薬、消化管作用薬などによってEDを引き起こすことがあります。
EDの症状(重症度)
チェック
問診が最も重要で、国際勃起機能スコア(IIEF)を用いて慎重に診断することが大切です。
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
勃起を維持する自信の程度 | かなり低い | 低い | 普通 | 高い | かなり高い | |
(性的刺激による勃起の場合)何回挿入できる程の勃起の硬さになったか | 性的刺激は 一度もなかった | 全くない、またはほとんどない | たまにある(半分 よりかなり低い) | 時々 (半分ほど) | おおかたある(半分よりかなり上回っている) | 毎回、またはほぼ毎回 |
性交中、挿入後何回勃起を維持することができたか | 性的刺激は 一度もなかった | 全くない、またはほとんどない | たまにある(半分 よりかなり低い) | 時々 (半分ほど) | おおかたある(半分よりかなり上回っている) | 毎回、またはほぼ毎回 |
性交中から性交終了まで、勃起を維持するのはどれくらい難しかったか | 性的刺激は 一度もなかった | 極めて難しかった | かなり 難しい | 難しい | やや難しい | 難しくなかった |
性交した際、どれくらいの頻度で性交に満足できたか | 性的刺激は 一度もなかった | 全くない、またはほとんどない | たまにある(半分 よりかなり 低い) | 時々 (半分ほど) | おおかたある(半分よりかなり上回っている) | 毎回、またはほぼ毎回 |
国際勃起機能スコア(IIEF)の合計点を基に、EDの重症度を評価します。
重症度 | 合計点 |
---|---|
ED なし | 22 ~ 25 |
軽度 | 17~21 |
軽度~中等度 | 12~16 |
中等度 | 8~11 |
ED | 5~7 |
EDの原因別に行う治療方法
ED治療は泌尿器科や男性専門のクリニックで相談できます。まずはEDの原因を特定し、タイプに適した治療方法を受けましょう。
心因性ED
カウンセリングを通じて原因を明らかにし、根本的に解消することが治療に役立ちます。ED治療薬を用いることで勃起が可能になり、自信を取り戻し、性交渉への不安も減少します。
器質性ED
器質性EDは、動脈硬化や神経障害などの病気やケガによって引き起こされます。検査を通じて原因を特定し、根本治療する必要があります。
混合性ED
器質性EDと心因性EDの両方が関与しているため、治療薬を用いて状態を監視します。改善しない場合は心因性EDの原因を探ります。
薬剤性ED
薬剤を服用している場合、その薬剤がEDの副作用となることがあります。受診時に医師に薬剤の詳細を伝え、併用可能か確認し、自分で薬剤を併用しないように注意してください。
当院で取り扱っている
ED治療薬について
ED治療薬として「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」があり、それぞれの薬には勃起力や持続力の違いがあります。また、男性ホルモンの分泌量の減少による勃起力の低下もあり、ホルモン補充療法を併用する場合は前立腺がんの検査が必要です。
EDは何科に行けばいい?
EDの治療は泌尿器科や専門外来で行われ、原因によって異なる治療法が必要です。
ED治療薬を基に、原因に合わせた治療を組み合わせることで効果的な治療が期待できます。