精液に血が混じる、精子が
赤くなる血精液症とは
血精液症は、射精時に血液の混じった精液が出る状態です。通常痛みは伴わず、色は鮮紅から茶褐色、薄いピンク色まで、多岐にわたります。
30~40代に多い?
血精液症の原因
血精液症の原因は、細菌感染、悪性疾患(がん)、その他の要因に大別されます。
細菌感染による炎症
白血球が細菌と戦うことで炎症が生じ、組織が壊れることで出血を起こします。精液に血が混じる場合、細菌感染による炎症が起こっている可能性があります。
細菌感染などによる炎症
基本的に身体のどこかで細菌感染が起こると、炎症が発生し組織が壊れるために出血してしまいます。この場合の炎症とは身体の白血球が細菌と戦うことを意味します。白血球と細菌が戦うことでそこの組織が壊れてしまうのです。精液に血が混じるとき、以下のどこかの器官で細菌感染による炎症が起こっている場合があります。
精巣上体炎
精巣上体炎は、尿道からやってきた細菌が精巣上体にも感染してしまう状態です。炎症によって出血が起こり、精液に血が混じります。原因は大腸菌やクラミジアなどの菌類で、抗生剤で治療します。
精嚢炎
(せいのうえん)
精囊に炎症が起こる病気です。採血や超音波検査で原因を見つけるのは難しいですが、MRIで診断をつけることが可能です。精液の一部である性能液に血液が混ざることで、血の混じった精液が出ます。経過観察でも改善できます。
※CT・MRI検査が必要な場合には、提携している病院をご紹介します。
がん(悪性疾患)
前立腺がん
前立腺がんは、前立腺液を作る前立腺にがんができる病気です。がんによって精液に血が入ります。日本人男性に多いがん疾患の1つで、2025年には全てのがんの中で最も多くなるのではないかと予測されています。PSA検査を通じて発見することができ、治療には放射線、手術、ホルモン治療、PSA監視療法などがあります。
その他
非常に稀ですが、前立腺の囊胞、前立腺肥大症、尿道狭窄などによって血精液症になることもあります。
血精液症の主な症状
射精時に黒っぽい、真っ赤な、または薄いピンク色の血が混ざった精液が出ます。少し痛みを伴うこともあります。この症状は、慢性前立腺炎やミュラー管嚢胞などの他の病気によって引き起こされることがあります。例えば、慢性前立腺炎では、排尿時痛や会陰部痛が出ることがあり、ミュラー管嚢胞の場合は血尿が現れることもあります。
血精液症の検査
尿検査
尿検査は、尿に細菌やがん細胞、白血球、赤血球がないかを確認するために行われます。
血液検査(PSA検査)
採血検査は、PSA値や炎症の度合い(白血球、CRPなどが上昇しているか)、前立腺がんの有無などを調べるために行います。
超音波検査
(エコー検査)
体内を超音波で視覚化し、立腺や膀胱、精巣、精嚢などに異常がないかを調べる検査です。検査中に痛みが起こることはありません。
血精液症の治療
慢慢性前立腺炎や前立腺がんなどの病気が見つかると治療が開始されますが、このような病気が見つかるケースはほとんどありません。血精液症の原因のほとんどは精囊炎で、基本的には無治療で1〜2ヶ月様子を見ていきます。
基本的には抗生剤で感染症を治療しますが、精巣がんや前立腺がんの場合は、それぞれのがんに対する治療を行います。症状がひどい場合は血止めのお薬を処方することもあります。
精液・精子に血が混ざって
怖いと放置せず
当院へご相談を
初期の前立腺がんや精巣がんは、自覚症状が目立たず、知らず知らずのうちにがんが進行することもあります。悪化すると、体への負担が大きい手術が必要になる可能性もあり、最悪の場合、命を落とすこともあります。感染症の場合は痛みや発熱などの自覚症状が強いため、あまり放置されることはありません。ただし、入院が必要になるケースもあります。