尿の勢いがない…
尿が出ない原因は?
排尿に関する症状には、「尿が出にくい」「お腹に力を入れないと尿が出ない」「尿の勢いが弱い」「尿が途切れる」などがあります。尿は腎臓から膀胱に貯留され、膀胱が満たされると(通常400ml程度)排尿中枢に伝わり、排尿を指令します。
排尿困難の原因としては、通過障害や膀胱の収縮障害があり、男性では前立腺肥大症、女性では神経因性膀胱がよく見られます。
排尿困難を引き起こす原因の疾患(男女)
男性特有の原因(疾患)
男性特有の病気としては、前立腺肥大、前立腺がん、前立腺炎があります。それぞれの病気について説明します。
前立腺肥大・前立腺がん
前立腺肥大も前立腺がんも、男性特有の病気です。前立腺肥大は、膀胱の真下にある前立腺が肥大し、膀胱を圧迫することで尿が出にくくなる病気です。肥大化は加齢とともに起こりますが、尿道や膀胱を圧迫することで排尿困難になります。
女性特有の原因(疾患)
女性特有の病気としては、骨盤臓器脱や子宮がんがあります。それぞれの病気について説明します。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱は、筋力の低下によって骨盤内の臓器が膣や股部から飛び出してしまう女性特有の病気です。排尿障害を引き起こし、膀胱が飛び出した場合は、頻尿などの症状が現れることが多くなります。
子宮がん
子宮がんの治療として行われる全摘手術によって、排尿障害を引き起こすことがあります。この場合、膀胱の神経が手術で傷つくことで、尿意を感じにくくなります。
男女共通の原因(疾患)
男性女性共通の原因としては、以下のようなものがあります。
尿道狭窄
尿道狭窄は、外傷や炎症などの原因で尿道が狭くなる病気です。尿が出にくくなる病気ですので、医療機関で診察を受けることをお勧めします。
神経因性膀胱
神経因性膀胱は、中枢神経や末梢神経の機能不全により、尿が出にくくなる病気です。頻尿や尿漏れなどが起こり、生活に悪影響を与える可能性があります。
尿路結石
腎臓で形成された結石が尿道を通り、排出されることで激痛や排尿困難を引き起こす病気です。
腰痛から排尿障害を
引き起こす場合も
あります
椎間板ヘルニアや骨粗しょう症、腰椎すべり症などの病気をきっかけに、尿が出にくくなる場合があります。腰痛が出た場合は診察を受けることをお勧めします。
検査・診断
尿が出にくい場合は、医療機関で検査を受け、薬物療法や手術療法で治療を行いましょう。
検査
問診
自覚症状や、尿が出にくくなった経緯、尿の勢い、力まないと排出できないのか、排尿の頻度などについてお伺いします。
尿検査
腎臓などの異常が隠れていないかを確認するために行われます。膀胱炎や前立腺炎などの症状がないかをチェックし、必要に応じて治療を行います。
超音波検査
(エコー検査)
排尿時の膀胱の中身や結石の有無を調べることが可能です。尿検査で判断できなかった異常を見つけるために行われます。
治療
薬物療法と手術療法があります。
薬物療法
前立腺部尿道の緊張を和らげるα遮断剤や、前立腺浮腫を抑える植物エキス配合剤などが主に使用されます。
手術療法
尿道から尿道鏡を挿入し、前立腺を切除する方法を実施します。また、尿道にカテーテルを挿入して尿を排泄する手法もあります。
尿が出にくいときに
できる対処法
以下の方法があります。
- 下腹部が張ったら排尿を我慢しない
- 便秘を予防する
- 腹圧をかけた排尿方法を心がける
- 排尿日誌をつける
下腹部が張ったら排尿を我慢しない
尿が出にくい時に下腹部が張ったら、すぐにトイレに行き、排尿を促しましょう。少しずつ状態を改善させるために、排尿を繰り返すことが大切です。
排尿日誌を作成する
排尿日誌を作成すると、よりご自身に合った治療が受けられます。トイレに行った時間や頻度、尿の量などの情報を記録することで、尿の出にくさを改善するのに役立ちます。
腹圧をかけて排尿する
尿が出にくい場合は、腹圧をかけて排尿するように心がけましょう。リラックスできるトイレ環境を作ったり、ぬるま湯のシャワーで陰部を刺激したりするのもお勧めできます。
便秘を予防する
便秘を予防と膀胱への圧迫が軽減され、尿が出にくさも改善できます。便秘が長引くと尿道が狭くなり、頻尿や排尿困難に繋がるため、便秘予防は尿の出にくさの予防にも役立ちます。